一つずつ心を込めて作る地域の光
第34回 こしぇる工房add 高橋けい子さん 小野公司さん
暮らしに遊び心を取り入れる 有限会社クワンが運営する「こしぇる工房add」は、滝沢市と盛岡市を拠点にさまざまなオリジナル商品を手掛けている。「生活(くらし)にアートを。」をテーマとし、ふきんや文具、雑...
岩手で活躍するさまざまな“人”に焦点を当て、紹介する「いわてプライド」。 この土地に誇りを持って生きる人たちの、熱い想いを伝えます。
宮古市出身の佐藤さんは、大学を卒業して一度は関東で就職した。民間企業で貿易やマーケティングに関わる仕事をしていたが、2011年3月11日に発生した東日本大震災津波をきっかけに、故郷へ戻ることを決意。あの日、あの場所にいられなかったという後悔にも似た気持ちが、いつまでも心から消えなかったためだ。
Uターンした当初は県の任期付き職員として復興事業に携わり、現在は正規職員として県産農林水産物の輸出促進に関する業務を担当している。
岩手県では輸出の重点品目に水産物や牛肉、米、リンゴを掲げており、北米やアジアを中心としたPRに取り組んでいる。輸出品は国や品目によって規制条件が異なるだけでなく、その国の衛生基準が変わるごとに規制内容も変化していく。常に最新の情報を県内の事業者に提供することも、佐藤さんの仕事の一つだ。
「私が担当している主な業務は、県内の事業者さんがスムーズに輸出できるようサポートをすることです。規制情報の提供のほか、海外で県産品を使ったフェアなどを実施するため、各国のバイヤーなどと相談しながら進めています」
ここ数年はコロナ禍で海外からの観光客が減り、国内の市場規模は縮小している。しかし、外出せず家の中で暮らしを楽しむ「巣ごもり消費」が拡大していることに加え、これまで継続してきた輸出への取り組みが功を奏し、全体的な売上は伸びているという。
「昨年は国産として11年ぶりに、岩手県産のリンゴがアメリカへ輸出されました。アメリカの検疫は厳しく、40日間の低温処理を経てからアメリカの検査官によるチェックを受けます。その後、燻蒸(くんじょう)処理を施してようやく輸出することができます。今年は新型コロナウイルス感染症の影響でアメリカから検査官が来られなかったため、日本の検疫官にアメリカの基準を勉強してもらって代行で検査を行いました」
輸出にはこれだけの工程が必要となるため、高い品質を維持することは難しい。それでも昨年輸出したリンゴは、大玉で甘みが強いと評判も上々。今年は昨年のおよそ3倍にあたる量のリンゴを輸出した。
流通課では「いわて農林水産物国際流通促進協議会」の事務局も担っており、同協議会員に向けた情報提供を行っている
佐藤さんが所属する流通課では、輸出以外に県産品の国内向けPRも行っている。例えば民間企業の社員食堂で県産食材を使ったフェアを実施するほか、最近では首都圏の復興応援フェアに宮古市の水産物を提供して利用促進に務めた。
また、2021年産米の食味ランキングでは、岩手県のオリジナル品種である「銀河のしずく」が4年連続で最高位の特Aを獲得。味や香り、粘り、硬さなどといった食味のバランスが良く、『冷めてもおいしく食べられる』と国内はもちろん、海外からも高い評価を得ている。
「確かな実績と、実際に食べていただいた方の感想などから、岩手の食材は国内外を問わず高いニーズがあると考えています。今は新型コロナウイルス感染症や世界情勢などで先が見えない状況にありますが、積極的な取り組みを続けて、生産者の皆さんの所得向上や岩手県の農業振興を目指していきたいと思っています」
震災から今日まで、地元の食材を各地に届けられるようになるまでの道のりは、決して平坦ではなかった。今こうして県産品をPRすることができるのは、苦難を乗り越え作り続けてくれた生産者があってこそ。その思いを胸に、佐藤さんはこれからも岩手のおいしい食材を世界中に届けていく。
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フリーライター 山口由(ゆう)
2011年、東日本大震災をきっかけに横浜から盛岡へUターン。現在はフリーライターとして、お店や人材の紹介、学校案内、会社案内、町の広報誌など幅広く活動中。取材を通して出会うさまざまな人の思いや歴史を知り、「岩手ってすごいなぁ」と実感する日々を送っている。趣味は散歩と読書、長距離ドライブなど。ホームページはコチラ。
カメラマン 佐藤 到
1969年宮城県白石市生まれ。進学で来県すると、岩手の環境や住みやすさが気に入って定住。
写真店勤務を経て、フリーカメラマンとして独立。
フィルム時代から経験を積み現在は人物・風景・スポーツ・スクールスナップ・ウェディング・料理・商品などなど何でも撮影します。
佐藤到 インスタグラム
https://www.instagram.com/forzaitaruy_ly25/
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