いわてプライド

岩手で活躍するさまざまな“人”に焦点を当て、紹介する「いわてプライド」。 この土地に誇りを持って生きる人たちの、熱い想いを伝えます。

自分らしく生きる「故郷」という居場所

第9回 岩手県職員 下川結さん

自分らしく生きる「故郷」という居場所

岩手の魅力を再発見した
「いわてダ・ヴィンチ」

 下川さんは、県職員として働き始めて4年になる。現在は定住推進・雇用労働室に所属し、学生などを対象としたU・Iターンに関するイベントの企画、運営などを担当している。移住に関することだけでなく、エントリーシートの書き方やポイント、自己分析のやり方など、国家資格を持ったキャリアカウンセラーが指導するイベントも実施。コロナ禍以降はオンラインで開催し、従来よりも参加者が気軽に質問できるなどコミュニケーションの充実を図り、満足度の高さを維持している。

 また今年度は、2021年1月に発売された「いわてダ・ヴィンチ2021」の製作にも携わった。同誌は県内全域を網羅するため、通常よりも膨大な量の仕事をこなさなければならない。県庁内でも注目度が高く大きなプレッシャーを抱えてのスタートとなったが、フタを開けてみれば「今まで知らなかった岩手の姿を知り、ますます好きになりました。担当できて良かったと思っています」と楽しそうに振り返った。

 そんな彼女が最もこだわったのは、著名な人物だけでなく身近な人のインタビューを盛り込んだことだ。

 「岩手で暮らしている人たちが楽しんで、プライドを持って働いていること。そして、岩手には魅力的な会社がたくさんあるということを伝えたかったんです」

 その思いから構成された「いわてダ・ヴィンチ2021」は、読者からの評判も上々。一部の書店では売り切れている所もあるという。


名刺入れは、岩手の織物として有名なホームスパンのものを使用

名刺入れは、岩手の織物として有名なホームスパンのものを使用


東日本大震災津波を経て
強まった故郷への思い

 実は下川さんは、数年前に岩手県へUターンした経験を持つ。大学時代を仙台で過ごし、埼玉県の民間企業へ就職。通信教育で生徒を受け持ち、英語などを教えていた。9年間の勤務のうち8年は英語を担当し、小学生から大学生まで幅広く指導した。最後の1年間は中学生の主要五教科を担当。思春期を迎えた生徒たちからの悩み相談も行っていたという。

 埼玉県で働き始めて4年が過ぎた頃、東日本大震災津波が発生。実家のある盛岡は被害が少なかったものの、故郷を襲った未曾有の天災に大きな衝撃を受けた。

 「埼玉県は計画停電こそあったものの、日常生活に支障はありませんでした。でも家族は盛岡や仙台など、みんな東北に住んでいます。みんなが辛い思いをしている時、自分だけいつもの暮らしができることに強い違和感を抱いたんです」

 そして下川さんは、せめて東北で暮らしたいと仙台支社への異動を申し出る。その願いは叶えられ5年の月日を仙台で過ごすが、やがて会社の方針で支社を閉めることになった。埼玉へ戻る選択肢もあったが、下川さんは「もう東北から離れたくない」と、退職を決意。担当していた生徒たちの進級や卒業を見送って、岩手県へとUターンした。「岩手県で一番有名な企業といえば県庁だ!」と、職員の採用試験を受験し見事合格。現在に至っている。


関係各所と打ち合わせをしながら企画を練っていく

関係各所と打ち合わせをしながら企画を練っていく

岩手で暮らしたい
その思いを実現するために

 「盛岡に帰ってきて、きれいな川や岩手山を見た時に、やっぱり自分が暮らすのはこの場所だと感じました。私はずっと『本当は岩手で暮らしたい』とモヤモヤした思いを抱えていたので、同じ気持ちを持ちながら県外で暮らす人のために、移住のお手伝いができればと思っています。」

 そう語る下川さんが思う岩手の魅力は、あまり周囲に左右されないところ。昔から作っているもの、続けてきたことを守りながら洗練されていく姿に、岩手で暮らす人の熱い思いが表れているように感じるという。どんな時代になっても変わらずに人を受け入れられる岩手であってほしいと、目を輝かせながら語ってくれた。

 下川さんは大好きな故郷へUターンしたことで、より自分らしく生きる場所を得たのだろう。自分が愛する土地で生きることの大切さを、彼女の笑顔が教えてくれた。


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この記事を書いたひと

フリーライター 山口由(ゆう)

2011年、東日本大震災をきっかけに横浜から盛岡へUターン。現在はフリーライターとして、お店や人材の紹介、学校案内、会社案内、町の広報誌など幅広く活動中。取材を通して出会うさまざまな人の思いや歴史を知り、「岩手ってすごいなぁ」と実感する日々を送っている。趣味は散歩と読書、長距離ドライブなど。ホームページはコチラ。

https://tokkari-shouten.themedia.jp/

写真撮影

カメラマン 佐藤到(さとういたる)

カメラマン 佐藤 到

1969年宮城県白石市生まれ。進学で来県すると、岩手の環境や住みやすさが気に入って定住。 写真店勤務を経て、フリーカメラマンとして独立。 フィルム時代から経験を積み現在は人物・風景・スポーツ・スクールスナップ・ウェディング・料理・商品などなど何でも撮影します。

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